少年は今日も夢を。

ただひたすらすきなことを。

聞き返さなかった故、

家に帰って読んでみたが矢張り俺には分からなかった。

そんな墜落論と共に出社する日々が数日続いた。

「よし。じゃあ、中間さんお先失礼します。」

「おう。お疲れ。」

定時をゆうに超えていた午後7時。

まだデスクでカタカタしている中間先輩を横目にオフィスを出る。

あの人頭は良いのにパソコン関係全くやからな。

そんなことを思いながら、スルスルと階段を降り、エントランスを抜ける。

受付は勿論閉まっていた。が。

『重岡さん?』

「、、、あれ?今上がり?」

『あ、はい。ちょっと事務手続きしてたらこんな時間に。』

「事務手続き?なんかあったん?あ、その前にこれ。ありがとう。長いこと借りててごめん。」

『いえ。墜落論如何でした?』

「うーん、、、俺にはさっぱり。(笑)」

『実は私もです。(笑)』

「何で勧めたねん!(笑)」

『なんとなくです(笑)』

そう言って二人で笑い合う。

そう言えば彼女にも笑窪が左頬にさりげなくある。

彼女も誰かを探しに来たのだろうか。

そんなことを思いながら今日も楽しそうに話す彼女に釘付けになった。

 

 

聞き返さなかった故、

そんなこと思うはずもなく