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少年は今日も夢を。

ただひたすらすきなことを。

スロースターター

少しの距離感にもどかしさを感じながら何をするわけでもなく、ただ二人、肩を並べて歩く。

ヒールを履いているとは言え、彼女は俺より身長が低いため、少し肩の位置がズレている。

それすらも何故か嬉しかった。

『もうこうやって重岡さんと帰ること、なくなっちゃうんですね。』

「せやなぁ、、、これからどうするん?」

『父の会社に入ります。』

「え、お父様会社してるん?」

『あれ、言ってませんでしたっけ?一応やってて。』

「そうなんや、、、」

『はい。今回アメリカに支店を作るから行けって。』

「え!?アメリカ!?」

衝撃に思わず立ち止まる。

『はい。次帰ってくるのは恐らく5年後ですね。』

そう言って彼女は俯いた。

「そうやったんや、、、アメリカかぁ、、、遠いなぁ、、、」

『遠いですよね、、、』

「てっきり日本にはおると思ってた。」

『父は私が昔からアメリカに行きたいって言ってたから今回機会をくれたと思ってるんです。学ぶことは多いやろうから無駄にしたくなくて、こんなに早く叶うとは思ってなかったんですけど、思い切って決めました。』

「ええと思う。そう思ってもなかなか実行に移せへん人だっておるわけやん?家族の誘いとは言え、せっかくのチャンスやもんな。行かな損やな!」

『でも、今になってちょっと迷ってるんです。折角こうして重岡さんと仲良くなれたのに、、、。』

「え、俺?」

『私、他部署に知り合いいないんです。だから嬉しくて。』

気づけば彼女の家の前にいて。

カウントダウンが終わりを告げようとしていた。

『短い間でしたが、ありがとうございました。楽しかったです。』

彼女はそう言ってぎごちなく微笑む。

「、、、なぁ、俺もさ、こうやって仲良くなれたの嬉しくて、もっと知りたいなぁって思ったから、その、さ、、、これからも教えてくれへん?」

『え、、、?』

「、、、俺と、付き合ってくれませんか?」

そう言うと彼女は頰を赤らめ笑顔で頷いた。

 

 

スロースターター

今ピストルが鳴った

 

 

                                                                                      Fin.